日本の伝統工芸の知恵と技術は決して過去のものでなく、今の時代にこそ生かされなくてはいけないものが沢山あります。
AQ仏壇工房ではその伝統工芸を守るため、仏壇仏具の製作を通して、自然の与えてくれた素材と匠の技の融合を日夜研究しております。
そして伝統ある江戸指物師※の工芸技術で素材の持つ自然の美を極め、感謝供養という日本人の豊かな心の文化を、次世代まで残すためのお手伝いをさせていただきます。
私どもの商品が、少しでもお役に立てることがあれば幸いでございます。
AQ仏壇工房の「AQ」は、永久の意味とAdvanced Quality(高度な品質)の頭文字から付けました。
ふたや引き出しのある箱物類(棚、箪笥、机、障子など)を作る職人の事。
室町時代以降に大工から分化した職業。
工房名 | AQ仏壇工房(エーキューぶつだんこうぼう) |
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所在地 | 111-0042 東京都台東区寿2-8-11(株)滝田商店内 |
連絡先 | TEL:03-3841-6191 FAX:03-3841-3934 |
代表者 | 滝田 雅敏(タキタ マサトシ) |
スタッフ | 塗り職人 責任者:山縣 英夫(ヤマガタ ヒデオ) 木工職人 責任者:置栖 忠明(オキス タダアキ) |
ご案内図 |
私、仏壇工房代表の滝田雅敏は昭和28年の巳年生まれ、浅草生まれの浅草育ちで、お祭りとお神輿が三度の飯より大好きな江戸っ子であります。
大正2年創業の仏壇屋 滝田商店の三代目として小さい頃から仏壇屋を継ぐものだと思って育ち、店を手伝うようになってからも何の疑問もなくお仏壇を販売してきました。
店の裏の両親の住まいには、さすが仏壇屋だけに立派な金仏壇がありまして、別の場所に住んでいる私もそのお仏壇に毎日手を合わせてきました。
しかし平成12年5月4日に父が肝臓癌で突然亡くなりまして、どうしても自分の住んでいる家にもお仏壇を置いて、もっと身近なところで亡くなった父と対話をしたい気持ちが強くなりました。
我が家のどこにお仏壇を置いたら良いか早速考えてみましたが、我が家には畳の和室が一つもなく、食事の場所を兼ねたリビングにしかお仏壇を置く場所がありません。
このリビングにどんなお仏壇を置いたら良いか?と、考えたとき愕然としました。
欲しいと思うお仏壇が店の陳列の中になかったのです。
あわてて全国のいろいろなお仏壇メーカーの資料を取り寄せて検討しましたが、やはり欲しいと思うお仏壇が見つかりませんでした。
仏壇屋なのに欲しいお仏壇がない、これはかなりショックなことでした。
私が欲しいと思ったのは、リビングにも合う小さくて材質が良いお仏壇だったのです。
我が家のリビングは狭いので、大きいお仏壇は置きたくなかったですけど、小さくても材質だけはしっかりしたものが欲しかったのです。
すぐに、父の代から滝田商店の職人として手伝ってもらっている、塗り職人の山縣さんと木工職人の置栖さんに集まってもらい、私の希望するお仏壇が何とか出来ないか皆で相談して、取りあえずその製作に向けての仏壇工房を立ち上げました。
これがAQ仏壇工房の始まりです。
山縣さんには構造・デザインも担当してもらうことにして、我が家に置くためのお仏壇の製作が始まりました。
もちろん洋間のリビングに置くわけですから金ピカの金仏壇ではなく、銘木を使ったすっきりとしたお仏壇が欲しかったのですが、まずは材質を一番重視することから始めました。従来の大半のお仏壇は、高価な銘木を節約するために、別の木材や合板の芯材に銘木の板を張り付けて作ってありますが、そういうごまかしのものではない総無垢の材質で出来ないものか検討しました。
これは、高価な銘木が大量に必要な上、無垢の木材は生き続けているため乾燥を十分にしなくてはいけないのと、加工製作に高度の技術が必要なため一番難しい問題でした。
銘木の種類は、リビングに置くことを考えると黒檀、紫檀では少し重苦しく暗い感じがするのでウォールナットにすることにしました。
ウォールナットは、北米産クルミ科の広葉樹で、世界随一の銘木として「木の宝石」とも言われ、古くから世界の高級家具に用いられていたようで、強靭で狂いも少なく耐久性に優れ、しっとりとした落着いた色と重厚な美しい木目を持っていて、私が考えていたイメージとぴったりでした。
本当に良いものを作りたかったので、樹齢100年のウォールナットを丸太のまま北米から輸入して、こちらで製材した良い材料だけを十分乾燥させて使うことにしました。
次の問題は、表面の塗装です。
どんな丈夫な木材でも、表面は何か塗装しておかないと、汚れがしみになって汚なくなってしまいます。
従来の大半のお仏壇は、ウレタンやラッカーなどの化学塗料を塗装してありますが、これは新品の時は良いのですが段々劣化してきますので、キズや汚れが気になってきます。また何よりも化学塗料は、修理の時に大変手間が掛かります。
やはり日本で昔から使われている世界最高の天然塗料である漆に優るものはありません。スリ漆塗りの技法で塗れば、木の素材感を損なわず木目の美しさを引き立て、優れた表面強度や耐久性も時が経つにつれて増してきます。
このスリ漆を4〜5回塗り重ねると、しっとりした落着いた光沢が出てきて飽きがきません。
スリ漆は古くなっても簡単に塗り直しが出来るので、30年に一回ぐらい塗り直し修理をしていけば100年以上は使う事が出来そうです。
塗り直しを行うためにはバラバラに分解できた方が良いので、「胴突き・抜きほぞ・クサビ止め」という伝統的技法を使い、分解組立が容易に出来るごまかしのない構造を生み出しました。
このようにお仏壇の基本のコンセプトは決まりましたが、今まで作ってきたお仏壇と全然違うお仏壇を作るわけですから、いざ作り始めるとなかなか大変で簡単にはいきません。
バラバラに分解組立ができる構造にするにはどうしたら良いか、スリ漆塗りはどう塗るのが一番良いか、山縣さんは見本の塗りを何回も塗って苦労していました。
置栖さんは、総無垢の材料はどう乾燥させるのが良いか、総無垢の材質に相応しい構造はどう作ったらよいか、苦労しながらいくつも見本のお仏壇を作っていました。
そんな試作を重ねているうちに、あっと言う間に3年近い年月が流れてしまいましたが、平成15年2月4日、父が亡くなって2年9ヶ月、ついについに私が欲しかったリビングにも合う小さくて材質が良いお仏壇が完成しました。
さっそく我が家のリビングに置いて家族みんなで手を合わせましたが、このお仏壇が完成できたのも、亡くなった父が高い技術を持った職人さんたちを育てておいてくれたおかげだと、改めて父に感謝いたしました。
こんなに小さくて、これだけ材質が良いお仏壇だから、将来子供が別の場所で生活することになっても、この永久仏壇だけは持って行ってくれるでしょう。
塗り職人の山縣さん、木工職人の置栖さん、本当にありがとうございました。
永久仏壇の資料を無料でお送りいたします。
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