お仏壇を安置する場所や向き・方角は?
お仏壇を置く向きは、仏教では十方どの方角にも仏さまはいらっしゃるので、方角に吉凶はありませんが、一般的には真北を向く北向きは避けて置く方が多いです。
また直射日光の当たる場所や湿気の多いところ、冷暖房の風が直接当たる場所は避け、毎日のおまいりがしやすい場所に安置するのがよいでしょう。
仏間があれば一番よいですが、床の間や押入れの上部、整理タンスの上、また居間のサイドボードなどの上に置いても構いません。
お仏壇を購入するのによい時期は?
お仏壇をお求めになるのに、良い時期とか悪い時期とかはありません。
ご不幸があった場合は、四十九日の法要までにお求めになるのがよいでしょう。
それ以外は、お盆、お彼岸、年回忌、家の新築などを機縁としてお求めになる方が多いですが、思い立ったが吉日で時期はいつでもかまいません。
むしろ平常、達者なうちにお仏壇を安置して、心をこめておまいりすることが本義といえましょう。
家の新築の場合は、先にお仏壇を決めて、その大きさに合わせて仏間を造った方が納まりがよいです。
お仏壇を買うと不幸なことが起こる?
お仏壇は、大切だった亡き人やご先祖を供養するところであり、ご本尊をおまつりして仏教の教えに触れるところであります。
もともと、人が亡くなったから必要というものではなく、祈りの象徴であると同時に精神的なよりどころであり、仏さまやご先祖のご加護によって生かされている喜びを味わう場所なのです。
「不幸なことが起こる」というのは全く根拠のない迷信です。
長男ではないのでお仏壇はいらない?
次男や三男の家庭では、「実家に仏壇があるから」とか「家族に死んだ人がいないから」といった理由で、お仏壇は必要ないと考えている人が多いですが、これは間違った考え方です。
自分が長男であっても、次男であっても、ご先祖を供養することは同様に大切なことであり、まして自分の親が亡くなったような場合には、是が非でも家庭にお仏壇を置きたいものです。
自分が今こうして生きているのはご先祖や両親のおかげであるわけですから、自分自身で仏さまやご先祖を大切にしていかなくてはなりません。
父親や母親が家庭で毎日お仏壇おまいりをしていれば、子供たちにも自然と仏様やご先祖への敬いの心が生まれてきて、感謝やおもいやりの心を育てるようになります。
新しくお仏壇を購入した時は?
新しくお仏壇を購入したら、菩提寺のご住職に来ていただき魂入れ(開眼供養・入仏式)の読経をお願いするのが習わしで、これによって単なる物に過ぎなかった仏像や掛軸や位牌が尊い仏様になるわけです。
ご住職に来ていただくのが困難な場合は、新しいご本尊や位牌を菩提寺に持参して魂入れをしていただき、持ち帰ってお仏壇に安置します。
使わなくなった古いお仏壇の処分は?
古いお仏壇といえども長年おまいりしてきたものなので、単にゴミに出すことはできません。
以前は菩提寺にお願いしてお焚き上げしてもらいましたが、最近は防災や環境問題の都合でお焚き上げできないお寺が増えています。
そのため今では古いお仏壇のほとんどは、お寺に代わって仏壇を販売している仏壇店が引き取り供養処分を行っています。
そのとき古いお仏壇の中に、大切な物が残ってないよう注意しなくてはなりません。
ご本尊と位牌だけは菩提寺に納めて供養していただきます。
家庭にお仏壇が二つある場合は?
普通お仏壇は一家に一つですが、いろいろな事情で二つある家庭もあります。
たとえば、家族の中に家代々の宗旨とは別の宗旨を信心している人がいるとか、婚家に実家のお仏壇を引き取った場合などがそうです。
前者の場合は「信仰の自由」を尊重し、それぞれの部屋に置いておまいりすればよいでしょう。
後者の場合は、そのまま引き継いでいく意思があれば、二つとも続ければよいのですが、引き継ぐ意思のない時や置く場所の都合で困難な時は、奥様の実家のお仏壇は整理するようになります。
一人っ子同士の結婚が増えている今の時代では、奥様の実家の位牌を一緒にまつることも、ご家族さえよければ問題ありません。
家族に不幸が出た時はお仏壇の扉は閉めるもの?
家庭に不幸が出た時は、お仏壇の扉は閉めるものだという話をときどき耳にしますが、これはおそらく神道からの影響なのでしょうが仏教では異なります。
神道の世界では、死者はけがれたものという考え方があり、神棚に白い紙を張り、拝礼をしてはいけないとされています。
そしてこの紙は喪が明ける50日祭の後はずされますが、仏教にはもともとそんな考え方はありません。
むしろ、そんな時こそお仏壇をおまいりして、お仏壇の中のご本尊に亡き人の導きをお願いしましょう。
お仏壇の中に写真を飾ってもよいですか?
お仏壇はご本尊と位牌を安置するところで、亡き人がすでに浄土に生まれかわり仏さまになったからには、故人の象徴の位牌をおまいりするようになります。
写真は見るものであって拝むものではありませんので、故人の写真はお仏壇の中に飾らないで別の場所に置いた方がよいでしょう。
ただどうしても写真のお顔を見ておまいりしたい方は、お仏壇の奥に入れず前や横に置くようにします。
お仏壇のおまいりの仕方は?
お仏壇は仏様に帰依し、ご先祖に報恩感謝する所ですから、常にきれいにしておくよう心がけます。
お仏壇には、毎朝、お茶かお水をお供えし、ご飯は炊いた時に炊き立てをお供えします。
お花は枯れないようにこまめに水を取り替え、常にきれいなお花を絶やさないようにします。
お菓子や果物、季節の旬のものを高月や小皿に盛ってお供えします。
お土産や頂戴物はまずお仏壇にお供えし、「お下がり」を仏様と共にいただくよう心がけます。
お仏壇の扉は、普段は開けたままで結構ですが、部屋の掃除の際には閉じてほこりを避けます。
宗派によって細かい作法は違いますが、最も大切なのは心ですから、まず心をこめて手を合わせることが大切です。
日常のおまいりの手順は、
ローソクに火をつけるのにライターでもよいか?
最近はライターに限らずいろいろな点火道具がありますから、どれを選んでもよいのですが、いずれの物でも仏壇専用と決めて使った方がよいでしょう。
マッチを使用する場合は、マッチ消しを用意してください。
消しくずを香炉の灰に突き刺したり、りんの中に捨てるのはやめましょう。
線香やローソクの火を消す時は?
線香の火は、口で吹き消すのではなく、手であおいで消すようにします。
人間の口は、とかく悪業を積みやすく、けがれやすいものなので、仏様に供える火を消すには向かないからです。
ローソクの火を消す場合も同じで、手であおいで消すかローソク火消しを使いましょう。
お仏壇おまいりの心がけは?
お仏壇おまいりの意義は、今日の感謝と明日への活力を感じさせていただくことです。
仏教においては、生きている毎日こそが大切なのであって、その間に、悔いのない努力を精いっぱいすることと教えています。
亡くなったご先祖を供養することも大切ではありますが、もっと大切なことは、自分が生きている間、縁のある周りの人々に、仏さまのように本当にやさしくしてあげることができるかどうかで、その勇気を与えてくださるのがご本尊でありご先祖なのです。
そして、ご先祖に対して、心からの感謝の気持ちを持って、どうぞ今日一日見守っていてください、とお願いするのが、日常のおまいりの最も重要な心がけであります。